35件の魔法、あるいはコールセンターの量子力学

今日のノルマは、「電話を35件かけて予約を取ること」だったんですよ。

私はコールセンターで勤めていまして、毎日毎日、「今日は◯件」とノルマがあるんですよね。でも、電話がかかってきたら、それも取るんです。でも、件数にはカウントされない。

そして今日は、電話がいっぱいかかってきたわけです。結果、12件しか電話をかけられなかったんです。

毎日、帰る前にね、今日の結果をね、部長さんに報告するわけですよ。
だから、定時の少し前に、私は部長に言ったわけです。
「今日は12件で、マイナス18件でした。」って。

そしたら、部長さんは、少し渋い顔をしながら「うん、うん」とわたしの結果報告を聞いたあと、満面の笑顔で言ったわけ。
「承知しました。明日から、取り戻していきましょう!」と。

わたしは一瞬、フリーズしかけてしまったけど、いつもの通り、反射的に「はいっ!」と、発声すると同時に、顔にも「少し反省している風の表情」を張り付けたわけです。
いやー、わたし、グッジョブ👍
なんなら、お客さまへの応対よりも、こっちのがたいへんだし、難しい、という不条理。
会社員の醍醐味です。

明日は明日で、「予想の忙しさのなかで可能と思われるコール件数」が、予定されているわけなんです。明日も、明後日も、その先も。
わたしは、未来の何処から、今日の足りなかった時間を、取り戻せばいいんでしょうか?

わたしは今日まで、「過ぎ去った時間は取り戻せない」という、宇宙の法則を信じて生きてきたのだけれど。どうやら、このコールセンターにおいては、それは間違いのようです。まさかの「消えた時間を魔法のように取り戻す方法」とやらがあるらしい。
世紀の発見ですよ、これは!

「やり方は、明日、教わろう。」

わたしは、そう決めて、「お疲れさまでした!」と、感じよく挨拶して、わたしは定時で退社したのでした。

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